【博物誌】洞窟ウサギと星屑の空
ベルベット・フローライトは不思議な兎。 その体は結晶でできていて、宝石がたくさん眠る鉱山の洞窟の中に住んでいます。 彼女は洞窟から外に出ることはできません。 洞窟の中はいつも賑にぎやかです。淡く光るコケに照らされる宝石や、透き通った湖、ここには綺麗なものがたくさん。 でも、ベルベットは洞窟の外を見たくてたまりません。 ある日、聞いたことも無いような大きな音が響いてきました。 驚いたベルベットが蝙蝠こうもりに訊ねると、洞窟の天井が崩れ、外に続く大きな穴が開いたそう。 外が見たくてたまらない不思議な洞窟兎どう ...
【1】迷い森の出口にて
おや、お客様でいらっしゃいますか? これはこれは…、ようこそお越しくださいました。 はい、申し遅れまして、私はこちらでお客様のご案内をお引き受けしております、縞猫しまねこのミケジと申します。以後お見知みしりおき下さると幸いでございます。 「猫が喋ってる」…でございますか? かようなお言葉を頂戴ちょうだいするのは二度目にございます。 もうどのくらい昔になりますか…以前ご案内申し上げた御仁ごじんも、初めてお会いしたときは左様さようにおっしゃられました。 せいたかみみなし猫種、、、、、、、、、、様がたの初対面の ...
【Prologue】らっかせい男のおはなし
子供に語られるおとぎ話について、内容に各々おのおのの土地柄を反映した差違さいは見られるものの、共通点が多いものがある。 子供に社会的ルールを教えるための教訓を含んだ寓話ぐうわなど。 しかし今回聴いた話は、村の周辺地域に似たような話も聞かない(交易が少ないため?) どちらかと言うと過去に村にあったゴシップ的な出来事が誇張こちょうされて伝わったものだろうか? 【フィクシオ大学民俗学研究室所属研究員、テル教授チーム、アリー氏の手記より抜粋】 むかしむかし、あるところに、小さな国がありました。 小さな国の小さな町 ...